番外編その８：FM-7/8シリーズ用アドオンCPUカード(by はせりん)

• 名称：FM-8用Z80カード (初期版)
• 型格：MB22401
• 発売元：富士通
• 搭載可能機種：FM-8
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
  4MHz品が使われていますが、動作速度は 2.4576MHzです。
• カードサイズ：55x140mm²
• 下の後期版と比べると、M1(MB400)のディレイ付加用セラコンが後付になってたり、LEDのまわりの配線パターンが若干異なっていますが、機能的には同じです。

• 名称：FM-8用Z80カード (後期版)
• 型格：MB22401/MB22471
• 発売元：富士通
• 搭載可能機種：FM-8
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
  4MHz品が使われていますが、動作速度は 2.4576MHzです。
• カードサイズ：55x140mm²
• Z80動作中にLEDが点灯します。ただし上蓋を閉めてしまうと外からは見えません。
• この40ピンスロットは、本体に内蔵できる唯一のものだったので、 Z80カード以外にいろいろと拡張カードが開発されました。有名どころでは、
  • COMPAC製 PSGカード
  • COMPAC製 VDPカード
  があります。
• 話しを戻して、このZ80カードには重大な欠点があります。
  2MHz高速化改造したFM-8では動作しません。
  その辺を改善した、高速化対応のZ80カードを村上氏がインターフェース誌上で公開されていました。

  ---

• Jumper SW の設定
  Z80 へ入力する φクロックの周波数を選択します。
  　S1側：下記の 2分周したクロック
  　S2側：E と Q から逆生成された 2.45MHz前後のクロック
  デフォルト設定は S2側 です。
  本体を 2MHz高速化改造した場合には、S1側に倒せばいいように思いますが、
  それでも動かないんでしょうね、きっと。
• DIP SWの設定
  

  　   １２　１：メインボード内の *NMI 信号を Z80 の NMI に接続/切断
  　ON ■■　２：メインボード内の *IRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断
  　OFF□□　
  
  いずれも ON で接続ですが、通常は OFF にしておきます。

• 名称：FM-8用BSCサポートカード(Z80カード)
• 型格：MB22402
• 発売元：富士通
• 搭載可能機種：FM-8
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
  4MHz品が使われていますが、動作速度は 2.4576MHzです。
• 写真提供：AIGOU Yoshiakiさま（どうもありがとうございました！）
• 「RJE/TSS端末エミュレータ BSCサポートカード付」というソフトウェア製品に添付されていたものです。
  同ソフトのBSCサポートカード無し版との価格差が2万円でしたから、このカード単体の値段は2万円相当と考えられます。
• 上のノーマルのZ80カードとの違い：
  • 機能面の差異は、FM-7シリーズ用Z80カードの差異と同等と思われます。そちらを参照願います。
  • 実装面では、ノーマル版が2層基板であるのに対し、BSCサポートカードは4層基板です。
    前者が TTLが8個しか載ってないのに対し、後者は18個と倍以上載っています。
    そのため、基板サイズも縦方向に若干大きくなっています。実装密度も高いです。
    また後者では動作確認用のLEDが削除されてます。(残念)

  ---

• Jumper SW の設定
  ノーマルのZ80カードと比較し、Jumper SW が増えています。詳細は不明です。
  何か情報をお持ちの方、教えていただければ幸いです。
  
• DIP SWの設定
  ノーマルのZ80カードと比較し、DIP SW が増えています。詳細は不明です。
  何か情報をお持ちの方、教えていただければ幸いです。

• 名称：FM-8用8088カード
• 型格：MB22404
• 発売元：富士通
• 搭載可能機種：FM-8
• CPU：Intel D8088-2(DIP-40, 8MHz品)
  8MHz品が使われていますが、動作速度は 4.9152MHzです。
• 8088動作中にLEDが点灯します。ただし上蓋を閉めてしまうと外からは見えません。
• 上部のコネクタには128KBの拡張RAMボード(MB22206、\49,800)をダイレクトに接続します。
  
  これがないとアプリケーションソフトが走りません。(CP/M-86だけは起動するようですが...)
  この拡張RAMボードに電源供給するため、システム拡張ユニット(MB26001、\133,000)が必要になります。
  

  ---

• DIP SWの設定
  

  　   １２　１：メインボード内の *IRQ 信号を 8088 の NMI に接続/切断
  　ON ■■　２：メインボード内の *NMI 信号を 8088 の NMI に接続/切断
  　OFF□□　　　(M25 74LS00 経由で接続されています。)
  
  いずれも ON で接続ですが、通常は OFF にしておきます。

• 名称：FM-8用Z80+SSGカード
• 搭載可能機種：FM-8
• CPU：Zilog Z84C0008(PLCC-44, 8MHz品)
  8MHz品を使用していますが、動作速度は 4MHzです。
• カードサイズ：55x140mm² (純正品Z80カード と同一サイズ)
• 掲載誌：インターフェース 1983年7月号
• オリジナル作者：村上敬司氏　(CP/M program EXEcutorの作者さんです。)
  • 富士通純正Z80カード(MB22401)との差異は次の通りです。

    	富士通純正 Z80カード	村上敬司氏版 Z80カード
    Z80 4MHz動作	×	◎
    Z80半速化Jumper SW	○	×
    本体*NMI/*IRQ信号とZ80のNMI/ INTを接続/切断するDIP SW	○	×(常時接続)
    Z80動作時にLED点灯	○	○

• 基板設計・製作：はせりん 詳細はこちら。
  
  • フットプリントの小さいZ80 PLCC版を用いて、かつ高密度実装によりZ80カード機能の占有面積を3/4程度に抑えました。
  • 空いた部分に、これまたフットプリントの小さいYAMAHA製SSG YMZ294(PSGとソフトウェア互換)を使ってPSGカード互換機能を押し込みました。
  • さらにおまけとして、SSG部のアドレスデコーダの$FD0FのRD/WR出力にFFを追加しており、 FM-7とコンパチの裏RAMの切り換え信号として利用可能です。

• 名称：FM-7/NEW7用Z80カード (初期版)
• 発売元：富士通
• 搭載可能機種：FM-7/NEW7/77
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
• 初期版と後期版があります。
  以前から両方持ってたのですが、並べてみるのは初めて。
  予想より相違点が多かったです。
  　初期版：TTL 18個
  　後期版：TTL 20個+SPG
  秀和の解析マニュアル(オレンジブック)に回路図が掲載されてるのは初期版です。
  
• 詳細な違いについて下にまとめました。

  ---

• DIP SWの設定
  

  　   １２３４　１：メインボード内の *FIRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断(M6 74LS08 経由)
  　ON ■■■■　２：メインボード内の *IRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断(M6 74LS08 経由)
  　OFF□□□□　３：メインボード内の *NMI 信号を Z80 の NMI に接続/切断
  
  いずれも ON で接続ですが、通常は OFF にしておきます。

• 名称：FM-7/NEW7/77用Z80カード (後期版)=BSCサポートカード
• 発売元：富士通
• 搭載可能機種：FM-7/NEW7/77
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
• 初期版でもけっこう実装密度高いほうなのですが、この後期版ではさらに TTL 2個とSPGが追加されています。
• 詳細な違いについて下にまとめました。

  ---

• DIP SWの設定
  

  　   １２３４　１：メインボード内の *FIRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断(M1 74LS08 経由)
  　ON ■■■■　２：メインボード内の *IRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断(M1 74LS08 経由)
  　OFF□□□□　３：メインボード内の *NMI 信号を Z80 の NMI に接続/切断
  
  いずれも ON で接続ですが、通常は OFF にしておきます。
  RJE端末エミュレータ、TSS端末エミュレータ を使用する際には、2番を ON にします。
  

• 名称：FM-77用Z80+192KB 拡張RAMカード
• 型格：RZ-192
• 発売元：日本コムネット
• 搭載可能機種：FM-77
• CPU：NEC μPD780C-1 (DIP-40, 4MHz品)
• そのまんまの名称です。
• Z80カードと192KB 拡張RAMカードの機能を合わせ持ち、さらに Z80側からも 192KB
  RAMにアクセスする機能が搭載されています。
• 256Kbit のDRAMが使われてるので、64KB 無駄になっているのが残念なところです。

  ---

• DIP SWの設定
  

  　   １２３４　１：メインボード内の *FIRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断
  　ON ■■■■　２：メインボード内の *IRQ 信号を Z80 の INT に接続/切断
  　OFF□□□□　３：メインボード内の *NMI 信号を Z80 の NMI に接続/切断
  
  いずれも ON で接続ですが、通常は OFF にしておきます。
  富士通製品と設定方法を合わせてあるようです。

＃ 3種類のFM-7/77用Z80カードについて調査を行いましたのでここにまとめておきます。
＃ 先に結果だけ表に示します。

	FM-7/NEW7		FM-77シリーズ		機能的な差異
FM-CP/M 起動	L10	L20	L10	L20	ローカルタイマ	192KBRAM	*REFCK出力
Z80カード初期版	○	×	○	○	-	-	Z80のRFSH
Z80カード後期版	○	×	○	○	○	-	Z80のRFSH
RZ192	-	-	○	○	-	○	独自回路(PLD)

・調査項目１：FM-7/77用CP/M起動調査
　本体2種類、カード3種類とソフト2種類の組み合わせで起動するかどうかの確認です。
　表の白い部分がその結果です。
　- FM-77用CP/M V2.2 L20 は、FM-77専用であり、FM-7/NEW7では使用できません。
　　こちらにより詳細記述あります。
　- RZ192は、FM-7/NEW7にはカードサイズの関係で装着できませんので不可です。
　- それ以外の組み合わせは問題なく起動します。
　すなわち、FM-CP/Mを実行する限りにおいては初期版と後期版のハード的な差は見えません。
　FM-7/NEW7, 77のいずれでも問題なく使えます。
　「FM-77は後期版のZ80カード必須」と記載されてるサイトが見受けられますがが、恐らく L20ソフトウェアが
　FM-77専用になっている件を誤認されてるのだと思います。

・調査項目２：*REFCK調査
　後期版搭載のSPG8651Aの用途が気になったため、DRAMのREFCKに使ってるのではないか、
　と予想を立てて調べてみました。
　- 背景としては、FM-7/NEW7/77 ではメインメモリとして富士通のDRAM MB8265A を使用しており、
　　そのリフレッシュクロックとして 4.9152MHzの64分周したもの(=76.8KHz,約13μs)を使用しています。
　　ただしそれは 6809動作時の話であり、Z80動作時には、Z80のRFSH出力をほぼそのまま使用しています。
　　この信号は毎M1サイクルでアクティブになるため、4MHz NOWAIT だと、過剰リフレッシュになります。
　　FM-77は元々発熱量多いため、それを抑えるためSPGクロックを使ってたりしないか、と考えました。
　結果としては、はずれです。orz　*REFCK は初期版と後期版で差異はありませんでした。
　例として JP 100H という命令を実行させてオシロで観測しましたところ次のようになりました。
　- 初期版 2.7μs(=370KHz)
　- 後期版 2.7μs(=370KHz)
　- RZ192　2.8μs(=357KHz) (PLDで独自に発生させているようです。)
　この結果から言える事として、FM-77でCP/Mを使用する際には、オプションスロットカバーをはずすとか、
　400ラインカードをはずすとか、発熱対策をした方がいいです。

・調査項目３：SPG調査
　それでは気を取り直して、オシロを駆使してSPGの用途を調査してみました。
　このZ80カードは4層基板な上に実装密度高いので、外観からは回路追うのはかなり厳しいです。
　以下、調査結果です。

• 上の波形(黄色)が SPG8651A の OUTPUT 出力です。
• 下の波形(水色)が Z80A の INT 入力です。

設定用のレジスタ(新設の74LS273)が追加されており、次のように推定できました。(この情報は本邦初かと...)

アドレス

内容

リードライト

機種

ビット構成

その他

7

6

5

4

3

2

1

0

FD2C

ローカルタイマ

W

TE

-

CTL6

CTL5

CTL4

CTL3

CTL2

CTL1

R

TE

割り込みクリア

rst

"0"

　- TE = Timer Enable (勝手に命名しています)
　　この bit だけ読み出し可能で、他は常に "1" が読み出されます。
　- CTL1〜CTL6 がレジスタ経由で SPG8651A の同名の端子に接続されており、分周比を設定します。
　　60KHz〜0.0005Hz のクロック割り込みを発生可能です。
　　詳細は SPG8651A のデータシート参照してください。
　- 割り込みは、Z80 の INT に接続されています。
　　メインボードから供給される *IRQ, *FIRQ と異なり、DIP SW で OFF にはできません。

・新たな疑惑：ローカルタイマは何のため？
　今回疑惑を３つ解明できましたが、新たな疑惑が生まれてしまいました。orz
　この SPG は、恐らく特定アプリのために敢えて追加されたような感じに見受けられます。
　富士通からは、CP/M-80用ソフトとして
　　SM07317P111 RJE端末エミュレータ BSCサポートカード付 \148,000
　　SM07317P121 TSS端末エミュレータ BSCサポートカード付 \148,000
　というのが発売されてたのですが、この「BSCサポートカード」の実体が、上の後期版Z80カード
　ではなかろうか、という気がしてきました。2万円安で BSCサポートカード無し版もありますし。
　何か情報をお持ちの方、教えていただければ幸いです。
　⇒正解でした。後期版は BSCサポートカードそのものようです。
　　参考文献(FM-7/NEW7 CP/M-80 操作手引書)に記載がありました。

• 名称：FM-7/NEW7/77用i8088カード(V20カード)
• 搭載可能機種：FM-7/NEW7/77
• 掲載誌：
  I/O 1985年11月号：ハードウェア製作
  I/O 1985年12月号：CP/M-86の移植と、前月号記事の訂正
  I/O 1986年1月号：V20への換装と、CP/M-80エミュレーションの実装
  I/O 1986年9月号：MS-DOSの移植
  
• 作者：大島 賢治氏　
• 写真提供：大島 賢治さま（掲載許可ありがとうございました！）
• 超高密度実装で実現された、FM-7シリーズ用8088カードです。64KBのDRAMを内蔵しています。
  オリジナルの作者さまよりいただいた写真は、CPUをV20に換装後のものであるとのことです。
  あまりの高密度のため、パスコンを置くスペースも無くて、裏面に実装されています。

• 裏面です。
  こちらも超高密度配線です。

• 名称：FM-7/NEW7/77用HD63C09カード
• 掲載誌：Oh!FM 1988年11月号（1989年12月号にフォロー記事あり）
• 作者：ikkei氏　 ご本人のサイトはこちらです。
  
• 搭載可能機種：FM-7/NEW7/77
• 一度HD63C09Eに切り替えると、リセットしても元CPUに戻らないといった工夫満載のカードです。
• ローカルに高速SRAMを積んでおり、6MHz動作された方もいるようです。
• HD63C09E のデータバスにつながっているダンパー抵抗は、データバス変化時にアドレスライン等に けっこう大きなノイズが載るのでその対策ですね。差し換えてそのまま動かない場合の原因の多くは これだと思われます。

  ---

• DIP SWの設定
  

  　   １２３４　１：BASIC領域の書き込み　(ON=可/OFF=不可)
  　ON ■■□□　２：BOOT ROM領域の書き込み　(ON=可/OFF=不可)
  　OFF□□■■　３、４：クロック周波数
  　　　　　　　　　　　　３　４
  　　　　　　　　　3MHz：ON  ON
  　　　　　　　　　4MHz：ON  OFF
  　　　　　　　　4.8MHz：OFF ON
  　　　　　　　　　6MHz：OFF OFF

  ---

• HD63C09カード用ユーティリティ
  ikkeiさん作のオリジナルの HD63C09ブートプログラムだと、FM-7/8の時代の RAMモードで起動 必要なソフトウェアを起動するのが大変でした。そこで、それらを簡単に起動できるような HD63C09ブートプログラムを作成しました。
  また、一旦HD63C09ブート後に、ブートROMを入れ替えるプログラム、そして許可を得て ikkei さん作のオリジナルブートプログラムも入れてあります。 詳細は同梱のマニュアルを参照してください
  ダウンロードはここからお願いします。
  

• 名称：FM-7/NEW7/77用コンパチZ80カード
• 搭載可能機種：FM-7/NEW7/77
• 掲載誌：I/O 1985年9月号
• 作者：北斗星氏　
• 基板設計・製作：Old68fun氏　 ご本人のサイトはこちらです。
  
• 写真提供：Old68funさま（掲載許可ありがとうございました！）
• 純正品のZ80カードは、Z80の他にTTLを18個とか20個も使用したかなりの高密度基板ですが、
  こちらは少ないTTLで同等の機能を実現した、作りやすいカードだと思います。
• Old68funさんによれば、74LS244を74LS541に変更したのとZ80動作時に点灯するLEDを追加した以外は、 忠実に再現された、とのことです。

• 名称：FM77AV/AV20/AV20EX用Z80Hカード 韋駄天
• 搭載可能機種：FM77AV/AV20/AV20EX
• 掲載誌：
  I/O 1987年10月号：ハードウェア製作、モニタ
  I/O 1987年11月号：簡易版CP/M-80の移植
  6809活用研究(1989年1月) ：ハードウェア製作、モニタ、本格版64K CP/M-80の移植
• 作者：竹下 克典氏　ご本人のサイトはこちらです。
  回路図の訂正が入っていますので、製作される際にはこちらを参照されると良いと思います。
• 写真提供：竹下 克典さま（掲載許可ありがとうございました！）
  オリジナルの作者さまよりいただいた写真は、6809活用研究掲載時からさらに改良したものであるとのことです。
  
• Z80カードスロットが無くなってがっかりしていたあなたに最適の、FM77AVシリーズ用高速Z80カードです。
  64KBのSRAMを内蔵しており、Z80を使用しない時には拡張RAMカードとしても使えるすぐれものです。
• 6809活用研究掲載の本格版CP/Mは、次の特徴を持ったかなり気合の入ったものとなっています。
  • 可変CP/Mサイズ：基本は64K CP/Mですが、60K やそれより小さいサイズにも対応します。
  • 40KB DISKキャッシュ、48KB VRAM DISK、64KB RAM DISK(プリンタ・スプーラと兼用)
  • RS232C サポート4KBバッファとXON/XOFFビジー制御対応(受信のみ)
  • トラック0のデータを格納しておき、高速リブート(CCPの再読み込み)
  • 6809命令実行機能

• 裏面です。
  配線がぎっしりです。

• 名称：FM77AV/AV20/AV20EX用Z80Hカード 韋駄天
• 搭載可能機種：FM77AV/AV20/AV20EX
• 作者：竹下 克典氏
• 基板設計・製作：Old68fun氏　 ご本人のサイトはこちらです。
  
• 写真提供：Old68funさま（掲載許可ありがとうございました！）
• 上の韋駄天カードについて、Old68funさんが基板を起こされました。
  SRAMを128KBタイプにして、基板面積も縮小されています。実装密度はオリジナルと同様、かなり高いです。
• Old68funさんにお願いして恒例の ASCIIARTベンチマーク を実施していただいた所、MBASIC+CP/M-80 部門では最速の結果が出ています。
  Z80CPU は、20MHzタイプが搭載されていますので、さらなる高速動作も期待されます。

• 名称：FM-11用Z80カード
• 発売元：富士通
• カードサイズ：Medium (95x270mm², 拡張スロット用)
• 搭載可能機種：FM-11シリーズ全機種
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
• めずらしく2層基板で製造されています、相変わらず部品点数が多いです。
• BOOT ROMを持たないため、いずれかのマスターCPUで起動した後、Z80カードを使用します。
  • 6809：添付の FM CP/M-80 で起動します。
  • 8088：FM-11用CP/M-86 のシステムディスクには、Z80カードで CP/Mソフトウェアを起動する RUN85 というプログラムが含まれています。
• バンクメモリ機構を持ち、最大 544KB の領域をアクセス可能です。(搭載メモリの半分しか使えない、 それも飛び飛びに、というのは残念な仕様です。)
  

  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　#0 #1 - -  #15
  　　     0 -+--------------------+
  　　        |固定(ベースアドレス)|
  　　  4000 -+--------------------+ - - - +--+--+- - +--+
  　　        |                    |       |  |  |    |  |
  　　  8000 -+   バンク切換対象   |       |  |  |    |  | 32KB x 16 = 512KB
  　　        |                    |       |  |  |    |  |
  　　  C000 -+--------------------+ - - - +--+--+ - -+--+
  　　        |固定(ベースアドレス)|
  　　  FFFF -+--------------------+
  

  CP/M Plus の使用を想定していたと思われますが、結局リリースされませんでした。
• マスターCPUにより Z80のアクセスするメモリ空間のベースアドレスが異なっています。
  • 6809：0x00000
  • 8088：0x10000
  マスターCPUが 8088 の場合、リセット時にはノンバンク部分とバンク部分が連続していない点が要注意です。

  ---

• Z80カード内I/Oレジスタ (メモリマップドI/O)

  アドレス

  内容

  リード ライト

  機種

  ビット構成

  その他

  7

  6

  5

  4

  3

  2

  1

  0

  FD2F

  Z80バンク レジスタ

  R/W

  -

  -

  -

  -

  A19

  A18

  A17

  A16

  マスターCPUから アクセス可

  rst

  "0"

  "0"

  "0"

  "0"

  FD50

  Z80割り込み マスクレジスタ

  R/W

  IRQ7

  IRQ3, IRQ4

  IRQ2, IRQ9

  IRQ0

  FIRQ0, FIRQ2, FIRQ3

  IRQ5, IRQ6

  IRQ1, FIRQ1

  IRQ8

  1:Enable 0:Disable

  rst

  "0"

  "0"

  "0"

  "0"

  "0"

  "0"

  "0"

  "0"

• 名称：FM-11用Z80カード 初期版
• 発売元：富士通
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
• カードサイズ：Medium (95x270mm², 拡張スロット用)
• 写真提供：かべきんさま（掲載許可ありがとうございました！）
• 実は、上記のカードは後期版です。はせりんの持ってるFM-11用Z80カードは全て後期版だったので、 初期版の存在を知りませんでした。 今回、かべきんさまより貴重な初期版のお写真をいただきましたので掲載させていただきます。 いつも感謝しております。(尚、CPUはCMOS版のZ84C00に差し替えられてるとの事です。)
• 初期版と後期版の違いとしては、目立つのはジャンパー線がたくさん飛んでいる事ですが、 さらに、後期版には無い DIP SWがひっそりと存在しています。しかし、このDIP SWはジャンパー配線 とパターンカットにより機能しないようになっており、後期版と同じ仕様で動作します。
  ではいったいこのDIP SWは何のために付いていたかというと、あくまで想像ですが、当初仕様では FM-16s/sx用Z80カードと同様、バンク切り換えのサイズ変更可能としていたと思われます。
  この仕様だと、CP/M Plusと相性が悪いので現在の仕様にしたのでしょうね。

  FM-11 Z80カード バンク切り換え機能 当初仕様(推定)
  　　     0 -+--------------------+ - - - - - - -
  　　        |                    |　　　　　 ↑
  　　        |                    |　　　　　 ｜
  　　        |                    |　　　　　 ｜
  　　  4000 -+--------------------+ - - - -  32KB　バンク切換対象
  　　        |                    |      ↑　 ｜
  　　  6000 -+--------------------+ -   16KB　｜
  　　        |                    | 8KB  ↓　 ↓
  　　  8000 -+--------------------+ - - - - - - -
  　　        |                    |
  　　        |                    |
  　　        |固定(ベースアドレス)|
  　　        |                    |
  　　        |                    |
  　　  FFFF -+--------------------+
  

• 名称：FM-11用マンハッタンカード
• 型格：APPLICARD80-1
• 発売元：サピエンス
• カードサイズ：Medium (95x270mm², 拡張スロット用)
• 搭載可能機種：FM-11シリーズ全機種
• 6MHz動作のμPD780C-2 及びローカルに 64KB DRAMを搭載し、マンハッタンシステムソフトウェアにより 6809(OS-9 Level 2) と Z80(CP/M-80) が並行動作します。
• 最大4枚まで搭載可能。全て並行動作します。

  ---

• Jumper SW の設定
  設置アドレスを変更可能です。
  

  　　　　　　　　　SW1-1　SW1-2　JP1　JP2
  　$C0000〜$CFFFF：ON 　　ON 　　右 　左　(Ver 1.0 出荷時設定)
  　$D0000〜$DFFFF：OFF　　ON 　　右 　右
  　$E0000〜$EFFFF：ON 　　OFF　　左 　左
  　$F0000〜$FDFFF：OFF　　OFF　　左 　右　(Ver 2.0 出荷時設定)
  
  　　　　　　　　　SW1-1/2 の設定だけで変更可能と思いきや、JP1/JP2 の変更も必要だったとは。
  　　　　　　　　　SW1-3 の用途は不明ですが、常に ON にしておくもののようです。
  

• 名称：FM-11用8088カード
• 型格：MB28041/MB28042の一部
• 発売元：富士通
• カードサイズ：Large (108x300mm², CPUスロット用)
• 搭載可能機種：FM-11シリーズ全機種 (FM-11EX, BS, BS/AD2には標準搭載)
• CPU：MBL8088-2 or 相当品 (DIP-40, 8MHz品)
  DMAC：AM9517A-5 or 相当品 (DIP-40, 5MHz品)
  FPU：D8087-2 (DIP-40, 8MHz品) (オプション)
  INTC：μPD8259AC-2 or 相当品 (DIP-28, 8MHz品)
  Boot ROM：MBM2732A-20 (DIP-24, 200ns品、4KB)
  オプションROM：MB83256 x2 (DIP-28, 250ns品, 計64KB)
• 左の写真はFM-11BSに搭載されていたものです。

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• オプションROMとして ROM版のF-BASIC86 が提供される計画もあったようですが、 結局は発売されませんでした。
• 他機種と異なり、ブートROM以外の領域は全てRAMとして使えます。(960KB)
  提供されていたOS、CP/M-86 や MS-DOS では広いRAM空間を活かしてRAMディスク等で活用していました。
• CPUをNECのV20(μPD70108)に換装するのも流行りました。

  メモリマップ
  　　     0 -+-------------------+
  　　        |                   |
  　　        |                   |
  　　        |      RAM領域      |
  　　        |    (FM-11本体)    |
  　　        |                   |
  　　 F0000 -+ - - - - - - - - - + - +-------------------+  
  　　        |                   |   |                   |
  　　        |                   |   |   オプションROM   | J1ジャンパーをショートすると有効
  　　        |                   |   |     (未実装)      | (標準状態では RAM領域)
  　　 FF000 -+-------------------+ - +-------------------+  
  　　        |     ブートROM     |
  　　 FFFFF -+-------------------+
  

• 名称：FM-11用68008カード
• 型格：ALPHA-11
• 発売元：日本コムネット
• カードサイズ：Large (108x300mm², CPUスロット用)
  このため、6809 か 8088 のどちらかと一方とのみ共存可能です。
• 搭載可能機種：FM-11シリーズ全機種
• CPU：MC68008L8 (DIP-48, 8MHz品)
• CP/M-68K(別売) と α-UX(標準添付)という Unix系OS が動いていたようです。
• 搭載されている ROM にはモニターとBIOS が書かれており、この ROMから起動可能なようです。
• 6809 もしくは 8088 との並行動作も可能な作りにはなっていますが、 オンボードの SRAM の容量が標準で 2KB、拡張しても 8KB なのであまり大それた事はできなさそうです。
• $E0000以降を占有するため、本体メモリが768KB+128KBまでしか実装できない、という制限がつきます。
  FM-11BS や AD2+ の人は 128KB RAMカードを用意しないとフル実装にならないのでつらい所です。

• 名称：FM-11用68000カード
• 型格：OS9-68K11
• 発売元：Forks (開発は Forks/星光電子/サピエンス)
• カードサイズ：Ultra Large (125x322mm², CPUスロット用)
  このため、6809 か 8088 のどちらかと一方とのみ共存可能です。
  また Z80カードとは共存できません。マンハッタンカードは RAMカードとしての利用となります。
• 搭載可能機種：FM-11シリーズ全機種（2HD搭載機推奨）
• CPU：HD68000Y8 (PGA-68, 8MHz品)
  DMAC：uPD8237AC-5 (DIP-40, 5MHz品)
• あえてバス幅の異なる68000を搭載し、メモリもボード内に1MB実装する等、性能重視の設計となっています。 (512KBメモリ版もカタログには掲載されてましたが、ほとんど出荷されなかったのではないかと予想します。 私の周りの方は全てこの1MB版をお持ちでした。)
• BOOT ROMを持たないため自己起動はできません。起動の時のみ、6809 もしくは 8088 の力を借ります。
  • 6809：添付の putldr09 にて IPL を書き換えて使用します。(出荷時はこちら)
  • 8088：添付の putldr88 にて IPL を書き換えて使用します。
• FM-11内部のメモリやI/Oへは、バス幅変換回路を通してのアクセスとなるため、速度が落ちます。 本体内メモリは RAM DISK として使うのがリーズナブルな選択でした。 それでもハードディスクやフロッピーディスクよりかは圧倒的に速いですから。
• 並行発売されていた FM16β用、PC-9801用 OS-9/68000 には、それぞれ Windows-16、Windows-98 といった マルチウィンドウシステムがオプションで提供されていましたが、残念ながら FM-11用はサポートされませんでした。 やはり、VRAM を直接アクセスできないのは厳しかったようです。 代わりに、ARKコーポレーションから OS-9/6809 の時代に流行っていた Vterm40 という 40行表示の複数画面 切替のドライバが OS-9/68000用にリファインされて提供されていました。6809版より画面数が増えていて、 不思議に思いましたが、謎は解けていません。

• 名称：FM-16s/sx用Z80カード
• 型格：FM16S302OI
• 発売元：富士通
• カードサイズ：Small (115x197mm², CPU-Bスロット用)
• 搭載可能機種：FM-16s/sx
• CPU：Zilog Z8400A (DIP-40, 4MHz品)
• FM-16s(Fujitsu Micro 16s)に標準装備されていたZ80カードです。
• FM-16s の CP/M-86 には FM-11用CP/M-86 と同じく CP/M-80ソフトウェアを Z80 でネイティブに実行する RUN85 コマンドが提供されていました。
• BOOT ROMを持たないため自己起動はできません。従って、CPU-Bスロット専用です。
• FM-130バスは FM16βになっても仕様は変わってないので、FM16βでもこのカード を使えるはずなのですが、試せていません。
  
  ＃ FM16βの回路図で確認したところ、メインボード上のZ80クロックの配線は生きていました。
  ＃ Z80クロックを供給する責任は CPU-Aスロット上のマスターCPUカードにあるようです。

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• DIP SWの設定
  

  　   １２３４　１、２：Z80バンクメモリサイズ設定
  　ON □□■■　　　　　　１　２
  　OFF■■□□　　　32KB：ON  ON
  　 　　　　　　　　16KB：ON  OFF
  　 　　　　　　　　 8KB：OFF OFF
  　 　　　　　　３：Z80メモリ空間のデフォルトベースアドレス設定
  　 　　　　　　４：メインボード内の *NMI0/*NMI1 信号を Z80 の NMI に接続/切断
  　 　　　　　　　　メインボード内の *IRQ0〜9、*FIRQ0〜3 は全てハード的には Z80 の INT に接続されており、
  　 　　　　　　　　アドレス 0xFD50 に配置されたレジスタで割り込み許可を制御します。
  

• 名称：FM16βシリーズ用80286CPUカード
• 型格：FM16-301
• 発売元：富士通
• カードサイズ：Large (115x320mm², CPU-Aスロット用)
• 搭載可能機種：FM16βFD, HD, SD, FD�T, HD�T
• CPU：A80286-8 (PGA-68, 8MHz品)
  DMAC：AM9517A-5 (DIP-40, 5MHz品)
  FPU：D80287-8 (DIP-40, 8MHz品) (オプション)
  INTC：P8259A (DIP-28, 5MHz品)
  Boot ROM：M5L2764K-2 x2 (DIP-28, 200ns品、計16KB) (オプションで 27256 x4、計128KB)
• FM16βFD�U, HD�U に標準装備されていた 80286CPUカードです。
  80186CPUカードの代わりに CPU-Aスロットに装着します。共存はできません。
  また日本語CP/M-86 V1.1 L4.2以上、日本語MS-DOS V3.1以上が必要となります。
  
• オプションの 80287数値演算プロセッサ(型格：FM16-351) も装着されています。
  追加で9万円(富士通から購入の場合)の出費が必要でした。何もかも高い時代でしたね。
• このカードで、ようやく FM130バスの全アドレス空間(24bit, 16MB)をアクセスできるようになります。
  ただしOSの関係で、1MBを超える部分は RAM DISKとして使われることが多かったと思います。
  (FM-11でメモリフル実装は珍しくありませんでしたが、FM16βでは聞いた事ないです。)
  
  ＃ こちらは最近入手したものですが、基板のバージョンが手持ちのものより古かった。orz
  ＃ 手持ちのうち1枚は 10MHz化改造してあります。オリジナルの 8MHzと比較し(体感ですが)かなり
  ＃ 早くなった記憶があります。時間できたらベンチマークしてみようと思っています。

• 名称：FM16βシリーズ用68000カード
• 型格：OS9-68K16B
• 発売元：Forks (開発は Forks/Logitec)
• カードサイズ：Large (115x320mm², CPUスロット用)
• 搭載可能機種：FM16βシリーズ
• CPU：MC68010RC10 (PGA-68, 10MHz品)
  DMAC：MC68450R8 (PGA-68, 8MHz品)
  MMU：MC68451L8 (DIP-64, 8MHz品)
  Boot ROM：27256 x2 (計64KB)
• このボードでは MC68010RC10 が搭載されています。他に、MC68450(DMAC)、MC68451(MMU)が搭載されており、 当時並行して発売された PC-9801用、FM-11用と比較してハイスペックになっています。
  
• MC68881(FPU)は別売りのROMカードに装着するようになっていたようですが、見た事がありません。
  
• 80286CPUカードとは共存可能で、80286CPUカードを CPU-Aスロットに、68000カードを CPU-Bスロットに装着します。 80286で起動後、68000に切り替えることができます。並行動作はできません。
  
• 80186CPUカードとは、そのままでは共存できませんので、引っこ抜いて68000カードと差し替えになります。 若干の改造で共存可能となるようですが、試してみていません。